こんにちは。鋼の整形外科医です。
寒いですね。
先週は旧センター試験こと共通テストが開催され、マスク着用方法を指導されたものの指導に従わなかったという男性が話題になりましたね。
1月はある年次の若手整形外科医にとって大事な時期です。
そう、今週末は日本整形外科学会専門医試験です。
ということで整形外科専門医試験について書いてみます。
専門医試験の受験資格は?
我々が受験した頃は学会主導での専門医試験でしたが、現在は専門医機構による試験になっている為、以前と多少条件が異なります。
①日本整形外科学会に入会していること。
②卒後6年目以降の医師であること。
③規定の後期研修施設での勤務歴があること。(大学病院を6ヶ月、地域医療を3ヶ月を含む)
④教育研修講演30単位
⑤1回以上の学会発表と1編以上の論文掲載
少し省略しましたが大まかにこんなところです。
①日本整形外科学会に入会
そりゃ当然ですよね。
これを満たしてない人は別の意味でも受験資格がありません。
以前は4年間の入会が必要でしたが現在は無くなったようですね。
殆どの方は初期研修が終了する頃に入会していることが多いと思います。
②卒後6年目以降
読んで字の如く。
整形外科なりたての頃は専門医試験を受けるくらいの先輩達がキラキラ輝いて見えたような気がしますね。
大学1年生の頃に国試勉強をしている6年生カッケーってなってたみたいに。
今までは7年目以降でしたが、今年から6年目も受験できるようで2つの年次が同時に受験するようですね。
TwitterでDr.ごん👮♂️@整形外科先生に教えてもらいました。
今年が旧専門医と新専門医の狭間なので二学年(卒後6.7年目)が同時に受けることになるようです!
— Drごん👮♂️ @整形外科 (@Drorthorth) 2021年1月21日
③規定の勤務歴
これが今の制度で厳しくなったポイントですよね。
我々の頃は2つ以上の施設での勤務が「望ましい」という努力目標であり、強制じゃなかったんですよね。
実際、自分は5→6年目の頃に医局から転勤が打診されたんですが、ちょうどその時期と家庭の都合上動けない時期が重なってしまい、転勤を1年間遅らせてもらった経緯もあって1施設のみの勤務でしたが特に問題なく合格しました。
今はこの制度により半強制的に医局に所属し、大学病院のローテを組んで転勤を繰り返している若手の先生は引っ越ししたり新しい職場に慣れないといけなかったりが大変だなぁとは思います。
その反面、強制的に大学を回ることで大学病院に対する敷居がだいぶ下がっているんじゃないかと思っています。またこの辺はいつか記載したいと思います。
④教育研修講演30単位
いわゆる単位集めですね。
地道に研修会に参加していたり、学会発表をしている人はけっこう単位が溜まっていると思います。
自分は毎年、日本整形外科学会の親善サッカー大会に参加させてもらってたのでそこで単位を荒稼ぎしてましたね。
こればかりは何年かかけて集めるしかないので頑張ってください。
特に注意してもらいたいのが腫瘍の単位です。
・日整会の骨軟部腫瘍研修講演
・日整会基礎の骨軟部腫瘍研修講演
・骨軟部腫瘍学会の骨軟部腫瘍研修講演(2単位取得可能)
この3つからでしか単位が取得できません!
自分の場合は日整会に3回参加して確保しましたが、日整会で1単位+骨軟部腫瘍学会で2単位を取得している人も多いと思います。
⑤学会発表と論文掲載
コレ、環境によっては地味に足枷になる人もいるようですね。
運が良いことに、自分は後期レジの頃の指導医が「この症例珍しいから報告出そうよ!」ってグイグイ引っ張ってくれて、発表のスライドもチェックしてくれる先生がいたのでこれには困りませんでした。
その先生が転勤でいなくなってからは後輩達の発表が無いと上の先生が嘆いてましたが、そう感じてるならアンタらが指導してやれよとは心の中で思ってました笑
提出症例
コレがめんどくさかったですよね!
レポート形式と一覧提出の2つが必要だったと思います。
レポート形式は各分野ごとの8症例を提出します。
病歴や身体所見、画像データなどから行ったアセスメント、治療を記載して、症例に対する考察を書くといった物です。
今年は口頭諮問が無いようですが、この8症例のレポートからチョイスされて質問もされるのでヘンテコな症例を選ぶと痛い目にあうぞと先輩方からアドバイスをもらってました笑
症例一覧の提出は完全なる事務作業…
年齢、性別、病名、治療などをexcelに打ち込んでいくのが苦痛そのものです。
確か150症例ぐらいでしたっけ?(うろ覚え)
普通に整形外科医をしていたら症例自体は集まりますが記入が大変です。
試験内容は?
筆記試験
どの分野でも避けては通れませんよね。
年によって合格ラインは多少変動しますがだいたい7割ちょっと取れるくらいに勉強をしていたら概ね安心かと思います。
自分はとにかくQ &A集を解きまくりました。
2周ちょっとくらい解いて、本番の得点率は73%くらいだったと思います。
国試と同じですが、一周目がツライ!
得意分野でもけっこう間違えますし、普段あんまり診てない分野なんて壊滅です笑
分からないところを調べるのは、整形外科医ならみんな大好き標準整形外科です。
標準整形をもとに問題が作成されるようになっているようなので、辞書兼お守りとして持っておきましょう。
試験対策はこの2つがあれば十分かと思います。
口頭諮問
もともと、専門医機構主導に変わってから無くなる噂があったようですが、昨今のコロナ情勢を受け、今年は諮問が無いようですね(さっき知った)
今後もしかしたら完全に無くなるかもしれませんが、復活した時のために一応書いておきます。
ホテルの一室に試験官が2名いてそれぞれから質問をされます。
友人に聞いても高圧的な雰囲気の試験官に当たったとかは聞いたことがないのでリラックスして受けれると思います。
・映像を見ながらの質問
TVモニターが置いてあり、そこに患者情報、病歴、レントゲンやCTなどの画像データが表示され、症例や整形外科治療に関する質問がきます。
分からなくて返答に困っていると、試験官から助け舟が出ることも…笑
・レポートからの質問
提出した8症例のうち2つを試験官が選んで質問をしてきます。
教科書的な内容や、実際に手術をした場合の注意点などを聞かれますので、自分の経験を思い出して答えましょう。
おわりに
今年は口頭諮問が無いようですが、ここまで終わればあとは結果を待つのみ!
今週末に試験を控えている先生達は頑張って下さい!
年々徐々に合格率が下がっていると言われていますが、おおよそ80〜85%くらいらしいですね。
他科と比べると多少緩めなのはありがたいですね。
マスクから鼻を出して退場処分になった先生がいたら報告して下さい。せっかくなので医クラで拡散します笑
専門医を取って変わったことは?
はっきり言って特にありません!
「専門医持ってます」って言えるくらいです。
色んな先生が言っていると思いますが、専門医の認定はあくまで整形外科専門医としてのスタートラインだと思います。
ここから修練を積んでサブスペシャリティを極めたり、更に広い範囲の分野を学んだり、もしくは基礎研究に活かしたりなどやれる事は沢山あります。
自分は今年度に専門医の更新なので、そちらもまた後日書ければと思います。
それでは