臨床と研究の狭間空間

整形外科医で某国立大学の大学院で研究をしています。大学院生という立場からのブログです。

手術研修

みなさんこんにちはDr.Q太郎です。

ちょろちょろと書いていますが、来週の月曜日の飛行機で北海道に移動し、3ヶ月間のオペ研修に行かせてもらいます。

我々外科医は通常、外来や救急の当番などをしていて、自分で初診の診察をした患者さんの主治医となり外来で治療をしていき、入院や手術が必要な際に担当医として治療に当たります。

そうすると経験できる症例がある程度、運の要素も混ざってくるんですね。特に外傷の分野では。

日々の診療をしていると、なぜか「引き」の強い人間というのが必ずいて、ソイツが当直をしているとなぜか重症患者がやたら入院になる等、生まれ持った見えない力を感じることがあります。

自分はどちらかと言うとまぁまぁ引く方の人間でした。

 

しかし変性疾患になると少し話が変わってきます。

外傷のように突発的に発生し、救急搬送されるようなものはその日の当番で診ることになりますが、今まで記載してきた変形性膝関節症や腱板損傷などに関しては、数ヶ月から数年の経過を経て手術が必要になる方も多い為、患者さんもその間に手術を受けたい病院を選定していたりします。

逆に、医師の方も自分の得意な分野の手術でない場合は、「ここの病院が沢山手術していますよ」と紹介状を書いたり、院内に専門医がいればそちらの外来に案内したりで上手に振り分けをしているんです。

 

そして現在、自分が専門としている膝疾患・肩疾患のうち、特に腱板損傷に対する治療の鏡視下腱板修復術の手術はメインどころではありますが、月に数回の執刀であることが多く、まだまだ指導医と共に手術をしている状況です。

と言うのも、愛知県では肩関節手術をしている病院がそれぞれの市で存在している為、症例数が分散しているのが現状です。

そういう場合に、集中的にたくさんの症例を執刀している病院への研修が効果的になるわけです。

当然ながら外科医が手術を上手くなるには数をこなさなければなりません。

今のように月数回の手術でも時間をかけて指導医と共にやっていくことで徐々に上手くはなっていきますが、ラーニングカーブは始めの立ち上がりで一気に数をこなしてやると、スキルの習得がスムーズなのではないかと思っています。

今回、私がお世話になる病院は鏡視下腱板修復術だけで年間700件以上の執刀があると聞いています。

というのも北海道という広大な土地の、色んな場所から紹介され患者さんが集まっているようです。

年間700件というのがどれくらい多いかピンとこない方も多いと思いますが、以前に勤務していた3次救急の忙しめの病院で整形外科手術全体で年間1400件、次に勤務した2次救急病院で整形外科手術年間800件でした。

鏡視下腱板修復術だけで700件というのが相当な数であることが分かると思います。

 

寒いのが苦手な人間ですが、北海道の地で修行を積んできます。

修行の内容についてはまた数ヶ月後に書くことになるんじゃないかと思っています。

 

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