臨床と研究の狭間空間

整形外科医で某国立大学の大学院で研究をしています。大学院生という立場からのブログです。

Aterior Cruciate Ligament Repair: The Current Status

Jonathan et.al. JBJS 2020;102:1900-15

Freddie Fu Sports Medical Center

 

こえまでの歴史としてACL repairは短期では比較的良い成績が報告されていたが、5年以上のフォローでは94%に不安定性が残存し、71%に疼痛や拘縮が残存し保存的加療と有意差が無かった。現在ではACL-Rが長期成績で信頼され、failure rateが10%未満。

最近のACL repairの報告はシンプルな手技と後療法で行われており、生理的治癒を改善させる手技も行われている。

 

基礎研究

ACLの治癒は関節外靭帯とは異なる治癒過程を取るが、fibrin-platelet scaffoldを充填するとMCL損傷の際に腱治癒やリモデリングされる。

FlemingらはウシのACL repairでcollagen scaffoldの有無で組織学的差は無かったと報告しているが、ブタ膝のACL repairに対するcollagen scaffoleは構造的改善、細胞数の増加、細胞結合が改善されていたと報告している。

Murrayらはイヌの10膝でcollagen scaffoldとしていない群で比較し、collagen scaffold群で組織学的欠損の充填が術後3,6週時点で改善していたと報告した。

Mastrangeloらは成熟した動物よりも、未成熟な動物においてACLの組織学的修復に効果があったと報告している。

 

ACL repair

急性期、大腿骨側での損傷、pivot shiftがlow gradeであるものは良い適応。けれども、これらは同様に保存的加療でも良い経過になる。

若年者にはrepairが良い成績だが、年齢があがったりhigh levelスポーツであると成績が悪くなる。

 

ACL tear type

TypeⅠは大腿骨側からの剥離で、靭帯の状態が良くその他損傷タイプと比較してACL repairの成績が良い。TypeⅡは靭帯の20%以下のスタンプが残っている物。TypeⅢは33%まで、TypeⅣは靭帯成分での断裂。

 

手術手技

縫合のみ、アンカー修復、ISTR(スーチャーテープでの補強)、BERA手技が行われた。

縫合はopenでされていた。

鏡視下スーチャーアンカーはACL断端に糸を通し、アンカーテープを関節外リレーして大腿骨側に固定した。

ACL repairの補強は、靭帯内にテープを通して大腿骨のフットプリントに通した。

血流を補うためにフィブリンクロットを充填した。BEAR手技は細胞外scaffoldを入れる。

1つの文献ではACL-Rと比較してACL repairはハザード率が50%とされていたが、最近のRCTで術後2年で2群に差が無かったと報告されている。しかしながらrepair群で再断裂が多い。

 

ACL-R

ほとんどの例がBTB。15年フォローで非解剖学的再建だと44%、解剖学的再建だと23%で関節症。初回ACL-Rのfailureは5%未満。若年、アスリート、hyperluxityのある患者は再断裂率が40%。