みなさんこんばんは。Dr.Q太郎です。
本日は2種類の人工肩関節置換術について少し書いてみたいと思います。
以前は人工肩関節と言えば、この解剖学的人工肩関節置換術(以下TSA)の事を指していました。
勿論、現在もそうではありますが、以前に腱板損傷治療の記事で少し触れたリバース型人工肩関節術(以下RSA)の普及により、かなり影が薄くなっています笑
どれくらい薄いかと言うと、私はRSAは何回も見ていますが、本日始めてTSAを見ることができたというレベルです。
2つの人工関節の適応疾患について
TSAは一次性変形性肩関節症や骨折などの外傷後変形性肩関節症、関節リウマチなどの二次性変形性肩関節症が適応になります。
人工膝関節置換術(TKA)と同様で、関節の変形が高度である場合、人工関節に置換する以外の方法で疼痛の除去が困難である場合が手術適応ですね。
しかしTSAが対応できない病態が、腱板損傷後の肩関節症なんです。
TSAは腱板の機能が正常であることが前提にデザインされており、腱板の機能により肩関節の求心位(関節の球がすっぽり収まること)を得ることができる場合に肩の機能再建をすることが可能です。
腱板損傷により肩関節の求心位が保てない場合、肩関節の屈曲、外転、外旋などの力を伝えることができず機能再建に至らないわけですね。
現在主流となってきているリバース型肩関節置換術
この問題を解決できる手術として、現在脚光を浴びているのがRSAです。
通常は腱板機能に肩関節の運動を依存していますが、その特殊な形状により三角筋の作用が効きやすくすることで肩関節機能を再建することになります。
図で見てもらうと分かると思いますが、TSAでは肩関節が解剖学的な位置になるのに対して、RSAは回転中心がやや下方になる為、三角筋の緊張が増えるんですね。
ちょうどゴムを想像してもらったらいいと思いますが、弛んだゴムで物体を引っ張ろうとしても力が伝わりませんが、突っ張ったゴムなら引っ張ると力が伝わるイメージです。
で、変形性肩関節症になる方はほとんどが腱板の障害を伴っていることが多く、TSAよりもRSAの方が適応になることが多いんです。
本日は珍しくTSAの手術がありこの記事を書きました。
おや?このブログが備忘録も兼ねているということを覚えていましたか?笑
初めてTSAを見た記録です。
読んで頂いてありがとうございました。