臨床と研究の狭間空間

整形外科医で某国立大学の大学院で研究をしています。大学院生という立場からのブログです。

Cemented versus cementless TKA of the same modern design

論文の備忘録ついでにせっかくなので要約をブログに残していこうかと思います。

整形外科医しか興味が無い内容だと思うので、その他の読者の方達にはすいません

 

JBJS 2019;101:1185-92

ワシントン大学

 

prospective randamized trialの論文

ポーラスコーティングのセメントレスTKAとセメントTKAの前向き研究

対象は18(!?)~75歳のTKA患者147名、BMI>40の高度肥満者や重度の骨粗鬆症患者(Dxaなどの詳細不明)、神経筋疾患、骨欠損の大きな症例は除外

TKAはセメントレスもセメントタイプもStrykerのCRタイプを使用

平均2年のf/uでOxford Knee Score、Knee society score、Forgotten Joint Scoreを評価

 

結果

患者群の有意差無し

Ope時間はセメントレス群で約10分ほど早かった(セメント固定時間の差のみだろう)

出血量、術後のHb値に差を認めず

術後の除痛、VASについては有意差無し

上記3つのスコアに有意差は無かったが、術後2年時点でセメントレスタイプの方が多少スコアが良い傾向にあった

 

考察

TKAのrevision適応の31~39%でaseptic loosningが原因になるが、以前のセメントレスタイプTKAはセメントタイプと比較してfailure rateが高かった。

セメントは初期固定力に優れているが、剪断力と回旋力に弱くコンポーネントのloosningにつながる。セメントレスTKAはセメントの破片を無くし、デブリのリスクを減らし、境界面での生物学的な癒合をもたらす。

これまでポーラスコーティングのセメントレスTKAの臨床成績についての報告があるが、今回の研究は初のランダマイズドな前向き研究で、術後2年のloosningなどを評価している。

術後2年の臨床スコアに有意差は無く、術後のVASは4~6週で評価し両郡で差が無かった。

limitationは1施設4術者であること、骨欠損例や重度の骨粗鬆例を除外しているので今回の結果がTKA全般に適応はできないこと、フォローが短期間であること。

 

結語

ランダマイズドの前向き研究でポーラスコーティングのセメントレスTKAとセメントタイプTKAでは臨床成績や生存率などに有意差は認めなかった。