臨床と研究の狭間空間

整形外科医で某国立大学の大学院で研究をしています。大学院生という立場からのブログです。

今後の医師の働き方予想

みなさんこんにちわ。鋼の整形外科医です。

Twitterの医療クラスター、通称医クラでは時々、今後の医師の働き方についてのツイートを見かけます。

今回は自分なりの今後の医師の働き方についての予想を書いてみます。

まぁあくまで予想を書くだけなので、合ってるかどうかは10年、20年後に答え合わせをしてください。

 

病院の集約化

まず前提として、厚労省働き方改革を通じて行っている方針の大きな柱の一つに病院集約化があります。

簡単に言うと、中規模の病院をツブして大規模病院に医療資源を集中させるというものです。

なぜ中規模の病院をツブすのか?

一番の理由は医師の分散を解消する為です。

 

例えば、現在の医療構造では

高次機能病院で年間1500件ほどの手術件数があるA病院に常勤外科医が8人

中規模病院で年間300~500件ほどの手術があるB病院に常勤外科医が4人

小規模病院で手術は100件未満の回復期メインのC病院に常勤外科医が2人いるとします

 

A病院は緊急性が高い疾患も含め沢山の症例があり、一人の外科医あたりの執刀件数も多く医師の頑張りによって支えられています。

B病院はある程度の手術が行われていますが一人当たりの手術件数はA病院の半分から2/3程度で、ある程度生活にゆとりがあります。

C病院は基本的に回復期のリハビリなどがメインでかなりゆとりがあります。

 

診療報酬改定を繰り返し、徐々に経営を厳しくされているのはB病院のような中規模病院です。

おそらく、B病院のような病院を2~3個ツブしてA病院に医師の再配置をさせることが長期的な狙いではないかと思います。

仮に3つのA病院になだれ込むことになりますが、その分A病院に4人×3=12人のマンパワーを回すことができれば3000件の手術件数に対して外科医20人という計算になります。すると一人当たりの執刀件数も150件/年と適正な数字になります。(最も、B病院でやってた医師の全てがA病院での仕事に順応できるわけではないので、あくまで理想論です)

こういった集約化の一番の恩恵は医師の勤務でシフト化を組みやすくなるということでしょう。

医師の過労の一番の原因は当直や待機といった24時間以上の労働を強制される勤務形態です。

10人未満のマンパワーでは誰かが当直後にも手術をするような勤務が必要になったりしますが、20人近くいると当直後はすぐに帰宅するといった体制だけでなく、当直前も勤務が不要になるかもしれません。

その場合、医師の給与はどうなるのか?

特別に何か計算したわけではありませんが、A病院のような高次機能病院の医師については現在と同程度もしくは上がるのではないかと思っています。

日本はアメリカの後追いと言いますが、今後はA病院のような施設で勤務するにはある程度のセレクションを潜り抜ける必要が出てくる可能性があります。

高次機能病院で働く医師の待遇と報酬を上げることで現在の崩壊しかけている医療を支えるしかないと思います。

その為には地方で散らばっている中規模病院をツブして、患者側のアクセスをある程度犠牲にするしか道は無いのでしょう。

 

診療報酬改定でジワジワと経営が苦しくなりながらも生き残ったB病院やC病院の医師達は少しずつ給料が下がっていく傾向ではないかと思います。(科の特性によって違うと思いますが)

いわゆるゆるふわ系の勤務は給料が下がり、専門的な高度医療を行う勤務では給料維持もしくは上昇という2極化するのではないかというのが自分の予想です。

信頼性の保証は全くありません笑

 

で、自分はどうするのか

ハッキリ言うと前述した働き方のどちらの勤務もあまりしたくありません笑

どちらかを選べと言われればA病院のようなところでの勤務ですが、そういった病院では整形外科はメジャー科と比べてあまり重要視されない傾向にあり(収益はトップクラスではある)、さらに手術のバリエーションが多い為、専門的な手術の小回りが利きにくいと感じています。

つまり自分のやりたい事、こんな職場環境を作りたいなど、決まった目標があれば開業という選択肢になると思います。

簡単に一言で開業と言っても自分の考えていることは相当な苦労やリスクを伴います。

それをくぐり抜けることが出来るかということが今後数年かける人生の挑戦の一つだと思っています。

失敗してたら慰めてやって下さい笑