臨床と研究の狭間空間

整形外科医で某国立大学の大学院で研究をしています。大学院生という立場からのブログです。

進路の決定

みなさんこんにちわ。鋼の整形外科医です。

本日は若手ドクター向けに、自分がどうして大学院進学を選んだかの記事を書いてみたいと思います。

 

当医局は比較的入局人数が多い為、毎年15人ほどはコンスタントに入局しています。

私が入局した際はとある事情により、なんと29人も入局しました。

えぇ、当然ながらしばらくは誰が同期なのか全然把握していませんでした。

関連病院の数も多いですが、入局者数がある程度担保されているので、大学院に進学するかどうかは完全に希望者制となっています。

つまり常に臨床をしていくと決めて、大学院進学をしない選択をしている先生も多くいます。(かつての自分もどちらかというとその部類でした。)

以前の記事にも書いたように、週2日の代務を医局からの指定で行くことになりますが、年収的にはガクッと落ちます。

大学院進学前の常勤単独で年収1500万前後だったものが、現在の代務だけでは1000万に届かないくらいに落ちていると思います。

もちろん、一気に年収が下がると税金がかなり厳しくなるので、平日昼以外はバイト可となっています。これはけっこう大きいです。

当直バイトや夕診バイトが入るとかなり助かります。

当医局は大学院生は基本的に研究をするというスタンスなので、代務以外の研究日に大学病院の仕事が入ることは少ないです。

自分の場合は毎週水曜日のオペ日のみdutyとしてオペ手伝いがある程度です。

なので代務先でオペをしていないと一週間何も執刀をしないこともザラです。

つまり、ボーッとしていると臨床能力がかなり落ちてしまうことが危惧されます。

 

上記の条件を見ると、ほとんどメリットが無いように見えますが、自分が大学院進学を決めたポイントは何点かあります。

 

最も大きな理由は、やはり症例の難易度でしょう。

 自分は今後、膝肩疾患を専門で診療をしていく予定ですが、その中で治療が困難な症例が集まるのが大学病院だからです。

難症例に対しての治療戦略の思考方法を学ぶことが重要で、どういう状況になった時に手術に踏み切る、手術の適応をどうするかを知ることが大学病院でのカンファレンスに参加することで得られるメリットかと思います。

 

第2に、大学病院に勤務する整形外科ドクターとの横の繋がりができることです。

良くも悪くも大学病院には医師が多く、自分の専門班はもちろんですが、他の専門班の先生と繋がりが持てることは、症例の相談などをしやすくなり日々の診療の助けとなります。

まだ具体的なことは明記できませんが、自分のセカンドキャリアにおいても他の専門班とのつながりは必要になるのではないかと現時点で予想しています。

 

そして3つ目が、そのセカンドキャリアについて医局と相談しやすいことですね。

同じくらいの年代のドクターなら皆さん似たような感覚を持っているかもしれませんが、医師10年目を超えた辺りというものは専門医を取って、サブスペシャリティもある程度決まってきて、今後の働き方をどうするか考える必要があると思います。

大学病院で勤務するのか、市中病院で部長職を目指すのか、開業をするのか…

そういったことは遠いところで考えているよりは、大学医局内にいて目上の人間と直接相談するのが手っ取り早いと思います。

実際に徐々にそういう相談を始めています。

またセカンドキャリアについてはいつかここでも記載できるといいなと思っています。

 

そして4つ目の理由は上記3つに比べると少しインパクトは弱いですが、住居の問題です。

一般の方はあまり知らないかもしれませんが、医局所属の医師は転勤族です。

医局によっては1年後とに勤務施設が変わることもあります。

しかも転勤の距離も県を何個かまたぐこともあります。

ある程度は希望を出すこともできますが、医局の都合で引っ越しが多くなるのは子供の教育場所がコロコロ変わることになるので、できればある程度の期間定住できる確約が欲しかったということがあります。

大学院へ進学前に赴任していた病院が大学病院からさほど離れていなかった為、院生活の4年間は少なくとも引っ越しをしなくていいという予測が立ちました。

 

これらが大学院進学を決めたポイントです。

若手医師の方達で大学院進学をどうするか迷っている方は参考にしていただければと思います。

 

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