臨床と研究の狭間空間

整形外科医で某国立大学の大学院で研究をしています。大学院生という立場からのブログです。

臨床研修マッチング

皆さんこんにちは鋼の整形外科医です。

今回は以前の記事で書いた初期臨床研修のマッチングについて一般の方や、医学科低学年の方向けに記事を書きたいと思います。

医学部6年生はまず初期臨床研修のマッチングシステムと言うものに登録します。

このマッチングシステムには初期臨床研修に参加する病院が登録されており、そのうちのどれかに就職すると言う制約の元で行われます。

逆に言うとこのマッチングで登録した場合マッチングシステム以外の病院の就職できません。そして当然ながらこのマッチングに登録しない場合マッチングしても今の病院にしか就職できなくなります。

毎年必ずマッチングシステムに登録し忘れる学生が何名かいるということもよく聞きます。ちなみに僕の所属していたサッカー部の同級生でもマッチングシステムで登録し忘れた奴がいます。

医学科6年生の学生さん達はくれぐれもマッチングの登録を忘れないようにしましょう。

 

さてこのマッチングシステムの内容ですが、以前の記事で書いたように大規模なねるとんシステムのようなものです。

まず病院への就職を希望する学生は春休みや夏休みを利用して病院へ見学に行きます。

この見学のときの様子を採用の選考基準にしている病院もあったりしますがその辺りに関しては、すでに就職して働いている研修医の先生たちに聞くと1番分かりやすいと思います。

そしてこの病院で働きたい!という病院に願書を出して、それぞれの病院で定められている就職試験を受けます。

試験の内容は記述の試験だったり面接の試験だったり様々です。

この試験の結果をもとに、病院側は受験したそれぞれの学生に採用したい順位を付けます。

ここまでは普通の就職試験とそう変わりはありませんが、このマッチングシステムの特殊なところは、受験する学生側も病院に順位をつけるところです。

 

学生Aさん、学生Bさん、学生Cさんがいたとします。

彼ら3人はたまたま同じ3つの研修病院の試験を受けました。

便宜上、3つの病院を

①できレジになれると評判!有名ブランド病院

②ちょっと田舎だけど症例豊富!地域中核病院

③都会でQOL重視でまったりやろう!民間中規模病院

この学生さん3人と3つの病院を例えにしてみます。

 

試験の結果や大学での成績などの総合的な成績がAさん>Bさん>Cさんだったとします。

①の有名ブランド病院は成績の良いAさんに研修に来てもらい、何としても馬車馬のように即戦力として働いて欲しいとマッチング順位を1番上にしました。

けれどAさんはブランド志向は全くなく、研修医のうちはQOLを重視したいと考えており、実は③の民間中規模病院を第1志望にしていました。

 

そして②の地域中核病院の病院幹部は本心では成績優秀なAさんを採用したいところですが、「あれだけ優秀な成績のAさんはブランド病院も受けると言っていたからウチには来ないかな…」という心理が働き、Bさん→Cさん→Aさんの順で順位をつけました。

Bさんはと言うと、もともと地域中核病院で働きたいという希望があったので、こちらも希望順位を1位にしていた為、無事にマッチングしたのです。

 

最後に③民間中規模病院はもともとがそれほど応募が集まる施設ではなく、第1希望にすればほぼ確実にマッチする傾向でした。

その為、当然Aさんは③の民間中規模病院にマッチングとなりました。

 

するとブランド病院のところにCさんがマッチ!

…すると話はここで終わりですが、ブランド病院は他にもたくさん志望者がいて、Cさんの順位よりも上に何人もの学生が登録されていることが往々にしてあります。

その場合、Cさんにはマッチングの順位が回って来る前にブランド病院は定員に達すしてしまいます。

おや、Cさんはマッチングの希望病院が全て埋まってしまった・・・

これ、どうなるか分かりますか・・・?

アンマッチという現象です

一般の就職活動でも内定が取れず、再度就活をしますよね。

それと同様に二次募集をかけている病院の試験を受けに行くことになります。

冒頭で書いたマッチングを登録し忘れていた僕の同級生もその二次募集で拾ってもらっていました。

まさにマッチング試験は夏休みに行われることが多く、Twitter上でもマッチングが終わって少し一息ついている医学生さんをたくさん見かています。

みなさんが希望の病院にマッチすることを願っています。

 

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