臨床と研究の狭間空間

整形外科医で某国立大学の大学院で研究をしています。大学院生という立場からのブログです。

腰痛

2019-07-30記載
 
どうもこんにちは。鋼の整形外科医です。
しばらくサボっていたので今日はもう一つ記事を書きます。
といってもtwitterで書いた記事のまとめみたいな物です。
整形外科で外来をしていると、とにかく多い主訴。
それは腰痛!
誰もが一度くらいは大なり小なり感じたことがあるかもしれません。
ただ、そのうち器質的疾患が原因になっているものはせいぜい2割程度と言われています。
つまり、8割ほどの大部分は特にこれと言った原因が無いってことです。
そのくせになんで沢山の人が腰痛に悩むのか?
これは人が二足歩行をするようになり下肢・体幹部・頭部を縦に立てる姿勢を取るようになった為です。
頸椎ー前湾
胸椎ー後湾
腰椎ー前湾
これらの組み合わせで頭から足まで一直線になるような体になったんですね。
逆に言うと、一直線にならない姿勢にはそれほど強くありません。
腰痛を自覚される方の多くは前傾姿勢を取ると痛みが強いということを仰る方が多いです。
1●年も前に習った高校物理の知識を使うと、力のモーメントが分かりやすいと思います
腰を支点とすると、前屈した場合に頭や体幹部の重量が支点からの距離によってモーメントとしてかかります

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頭の重量をmとすると、重力加速度g、腰からの水平方向の距離がLでmg×Lとなり、Lが大きいほどモーメントも大きくなり、傍脊柱筋等に負荷がかかります
(物理は高校卒業してからロクに勉強していないので間違ってたらすいません)
荷物のような物で例えると、頭部はだいたい5〜6kgらしいので2Lペットボトル3本ほどを常に持っているイメージです

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腕を伸ばして持つ場合と、体につけて持つ場合では後者の方が楽なのはモーメントのL(距離)が小さくなるからです
頭に荷物を乗せて運んだりするのは、限りなくLを少なくしているんですね
このように、前屈姿勢は背筋群にずっと負荷をかけている状態になるので、結果として腰背部痛が起こります
これは何も極端な前屈に限らず、例えばPC作業で画面をのぞき込むのに猫背になったりするのも当てはまります(ここで姿勢を正す)
 
また、荷物を持つ時に腰への負担を減らすには体幹部に近いところで持つ事も腰痛予防で重要です。
前屈姿勢だと大きなモーメントが働くので強い筋出力が必要となり、急性腰痛症のリスクになります。
諸説ありますが、いわゆる「ぎっくり腰」は傍脊柱筋の肉離れの可能性はけっこう高いです。

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腰痛の原因は数多くありすぎて書ききれませんが、前屈姿勢に関しては日常生活で少し気をつければかなりの腰痛を防げます
ここまで読んでもらったら分かると思いますが、腰回りの筋力がどれだけあるかも重要です
なので日頃から背筋群は鍛えておきましょう
負荷軽減と強い筋力でノー腰痛ライフを!